今回のサマーフォーラムは、以下のような内容で行います。
最近の全国聾学校校長会の調査によりますと、聾学校在籍児に占める人工内耳装用児の割合は30パーセントを超えて、さらに増加の傾向があると報告されております。
そこで、今回の記念講演では、医師で新進気鋭の研究者でもいらっしゃる国際医療福祉大学の高橋優宏先生をお招きして、「人工聴覚器のシームレス化~執刀医の立場から」というテーマでお話しを伺います。耳鼻咽喉科専門医のお立場から、人工内耳を中心とする人工聴覚器の適用のプロセスや課題等についてお話をしていただく予定です。
1日目の午前には、この春に大学院を修了され会社にお勤めの湯浅遼太様から「聾学校と小中高等学校の環境が及ぼす自尊心やアイデンティティについて」の研究報告をしていただきます。それを受けて元横浜市通級指導教室教諭の柿沼須栄子先生から学齢期の難聴児の悩みと支援についてお話ししていただきます。
午後、記念講演終了後には、分科会を設定して、全国から来られる皆様に、様々な立場から積極的に意見交換をしていただける機会を設けました。分科会のテーマは「乳幼児期の聴覚活用」「軽中等度難聴」「人工内耳」「補聴器」です。テーマに沿って討論を深めていただけるように、各分科会にファシリテーターやコメンテーターも予めお願いし、皆様とともに情報交換や討論を深めていければと存じます。
2日目の午前には、補聴器アップディトでは、「周波数の低域化」についてとり上げます。障害者総合支援法の補聴器にこの機能を搭載している補聴器メーカの方から、周波数低域化の技術的特徴を話していただくとともにフィッティングの仕方についても講演していただく予定です。その後、大阪芸術大学教授の田中裕美子先生から「ナラティヴを用いた言語評価」についてお話していただきます。
そして午後からは「保護者が人工内耳手術を決断する過程について」を共通のテーマとして、お二人の方から話題提供をしていただく予定です。人工内耳の手術の適用が1歳台となっている現在、保護者の方々は様々に悩みながら子どもに人工内耳を装用する決断をされていると思われます。今回は、一名の保護者の方と、金沢大学人間科学系准教授の荒木友希子先生にお話を伺います。
最後に、参加された皆様から今年度のサマーフォーラムについて感想や意見交換を通して、令和に入って最初の補聴と聴覚活用研究会の内容についてまとめさせていただくとともに、来年度に向けての課題について明らかにできればと存じます。
スタッフ一同、建設的な会になるように努めてまいります。
皆様の積極的なご参加をお待ちしております。